山のダイヤモンドー姫竹

食卓を潤す飛騨の竹の子

 

日本では竹の子というと、真竹や孟宗竹がマーケットに並びますが、この土地で竹の子というと「姫竹」をさすことがあります。正式名称は「千島竹」と、 竹科ではなく、笹科の一種で、小さく細いことが特徴です。

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日本中の標高の高い土地に植生していますが、寒い地域で採れる姫竹のみが甘く柔らかいため、食べられています。冬の雪の重みで根が曲がることから、多くの地域では「根曲がり竹」と呼ばれています。他にも「笹竹」「細竹」、山形県・月山では「月山筍」と呼ばれています。

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山深い道なき道の中、笹や木々を掻き分け、足下に生えている竹の子を夢中で探し、山の中で遭難する人も少なくないと言います。一度遭難を経験した人は、恐ろしくて二度と行きたくないという声も聞きました。

梅雨時期の6月、 水が大好きな竹の子は、雨で一気に生長します。採れる時期は短く、危険も共にしているせいか、市場では高い値段が付いています。収穫することを楽しみにしている人もいますが、近年、若い人の山離れもあり、昔ほど山に入る人はすくなくなっているそうです。

姫竹には、皮が青い種類と赤い種類があり、赤い姫竹の方が地面に紛れて見つけられにくいことから、赤い方が重宝される傾向があります。また、東北地方では 雪渓が消える場所から竹の子が生えてくるので、赤い姫竹を「赤いダイヤ」とも呼ばれています。地元の人が四季の逡巡の中で心待ちにされている食材であるこ とが思い浮かばれます。himetake03

採ったその日に湯でることが大切。他の竹の子と比べるとアクがないため、灰汁抜きをする必要はありませんが、茹でずに置いておくと風味は消え、下の方から固くなります。一日一節ずつ固くなると言われています。また、茹でたらすぐに冷水にさらすと色鮮やかに残るそうです。同じ山でも採れる場所によって味が違うことも耳にしましたが、鮮度命の姫竹、食べ比べをするのは至難の業です。

茹でて皮をむくと、採ってきた量の1/4の量に減ります。重い思いをして山を歩き、実際に食べられる量は少ないことも、貴重な理由のひとつかもしれません。

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飛騨では、冠婚葬祭に欠かせない一品なので、通年食べられるように瓶詰めにして保存しています。

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でも、最高に美味しい時期は採れたその日から数日、過ぎ行く季節の中、ひだ人が鮮度を大切にする食べ物のひとつです。